【事例公開】「作って終わり」にしない。社員主導のKDDI Biz Edge本社ワークプレイス変革
働き方が変われば、オフィスに求められる役割も変わります。社員同士のコミュニケーションをどう生み出すか。集中しやすい環境をどう整えるか。デジタル (オンライン) とリアル (オフィス) が混在する中で、それぞれの強みを活かし、会議や共創の質をどのように高めていくか。こうした問いに向き合うことは、今多くの企業にとって重要なテーマになっています。
KDDI Biz Edgeは、通信・ICT環境の整備に加え、空間づくりやオフィスソリューションを通じて、企業の働く環境づくりを支援しています。「KDDI Biz Edge」としての新たなスタートに向けて、2025年11月、本社オフィスも刷新。部署横断による12名のプロジェクトメンバーが中心となり、自分たちの働き方や組織のあり方を見つめ直しました。
本記事では、新オフィスに込めた設計思想、部署横断でのプロジェクトプロセス、空間・ICT面の工夫、そして移転後に生まれた社員の意識や行動の変化を、プロジェクトを担った5名の座談会からひも解きます。
AIによる要約
働き方が多様化する中、オフィスは単なる作業場から「自律的な価値創造の場」へと進化している。KDDI Biz Edgeは新オフィス移転にあたり、若手を中心とした社員自らが「理想の働き方」を定義。空間設計とICT・通信環境を一体で整備し、ルールや意識改革もセットで進めることで、コミュニケーション活性化とエンゲージメント向上を実現した。自社実践で培った生きた知見を通じて、お客さまの「はたらく未来」を伴走支援するノウハウを公開する。
<出演者プロフィール>
KDDI Biz Edge株式会社
コーポレート統括本部 副統括本部長
鈴木 裕子
総務部/移転プロジェクトリーダー
小島 良子
ソリューション支援センター/ICTプロジェクトマネージャー
大高 勇人
人事部/プロジェクトメンバー
野村 沙希
営業企画部/プロジェクトメンバー
坂口 李沙
「はたらく未来」を自分たちで考える重要性
──プロジェクトは部署を横断して選ばれた社員が中心になって進めたそうですね。
野村 沙希 (以下、野村) はい。自社のオフィスづくりは、プロジェクトメンバー12名全員にとって初めての挑戦でした。だからこそ、まずは丁寧にワークショップを重ねて、「自分たちが本当に大切にしたい想いや価値観は何か」を徹底的に言語化することから始めました。
小島 良子 (以下、小島) 「自分たちが10年後にどうありたいのか」「日々どんな姿を目指すべきか」といった理想の未来を語り合うことからスタートしました。総務の役割は、メンバーが日頃感じている「リアルな違和感 (課題) 」を解消し、同時に「新オフィスへのワクワク感」を形にするためのエネルギー源に変えていくこと。ワークショップでは、議論がポジティブな方向へ進むようにファシリテーションに徹しつつ、各部署の意見や要望を汲み取りながら、予算・スケジュールの枠組みの中で最適な形に着地させる調整役を担いました。
鈴木 裕子 (以下、鈴木) 働く場を自分たちの手で真剣に考えるプロセスそのものが、オフィスへの愛着を生み、企業としてのポテンシャル (組織力) を底上げするのだと確信しています。「社員が自律的に動き、チームで最大の成果を出すには?」「組織の垣根を超えて本音で信頼関係を築くには?」――今回は、そうした根本的な考えを問い直し、ゼロから再定義するところからのスタートでした。
目指したのは、リアルとICTが融合する理想のコミュニケーション
──移転前のオフィスにはどのような課題があったのでしょうか?
鈴木 課題の一つは、組織の急激な成長に伴って、かつての弊社の強みであった「社員同士が頻繁にコミュニケーションを取り、アイデアを出し合う文化」が薄れつつあったことです。人員増加により、もともと一箇所にまとまっていた組織が新宿駅周辺の2つのビルに分かれ、営業戦略を練る部隊と実行部隊の拠点が離れてしまいました。
もちろんICTツールを活用して業務上の連携は維持していましたが、慢性的な打ち合わせスペースの不足もあり、部門を超えた偶発的なアイデアの創出や、顔を合わせるからこそ生まれる組織の一体感をいかに育むかが課題となっていました。移動時間などの物理的なロス以上に、そうした「見えない価値」の低下に危機感を抱いていました。
小島 オフィスが離れているという物理的な課題とともに、日常業務の中で生まれる「心理的な距離」をどう縮めるかが重要でした。目指したのは、単なる拠点の統合ではなく、リアルな場とICTの長所を融合させ、社員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できる、新しいコミュニケーションの形を創造することでした。
──拠点の統合だけに留まらず「働く環境への投資」と位置づけた理由を教えてください。
鈴木 私たちはICTを活用したオフィスソリューションを提供する企業として、「働く環境への投資=企業成長への投資」という考えを大切にしています。だからこそ、自ら体現者となり、自社のオフィスでその理想を形にすべきだと考えました。移転を機に、ただ働く場所を物理的に集約するのではなく、「人と人が自然に集い、交わる空間」を生み出す。それがプロジェクトの揺るぎない方針でした。
オフィスは固定費と捉えられがちですが、私たちの最大の財産は「人」です。ICTによる効率的なつながりに加え、リアルなオフィスでの社員同士のコミュニケーションが熱を帯びれば、その価値は掛け算式に3倍、4倍へと膨らんでいきます。だからこそ、新オフィスを単なる作業場ではなく、「多様な働き方の中で人と人が深くつながり、新しい価値を生み出し続ける舞台」へと転換したかったのです。
エントランス。未来感とサステナビリティをテーマに、眺望と豊かな採光を生かした空間で来訪者を迎える。
働き方を変えるにはハードと文化をセットで変革
──特にこだわったポイントはありますか?
坂口 李沙 (以下、坂口) こだわったのは、社員の「動線」を意識して設計し、偶発的なコミュニケーションを誘発するエリア配置です。例えば、コラボレーションエリアをあえて各階に分散させました。フロアを跨いで「ちょっとあそこを使ってみよう」「今日はこのエリアに行ってみよう」と移動のフックを意図的につくることで、日常の業務だけでは交わらない、組織を超えた偶発的な会話が生まれるしかけにしました。
・左図:全フロア共通の基本ゾーニング。働き方の変化に合わせて柔軟にレイアウト変更できる設計を採用。
・右図:32階・33階・34階の機能配置図 (「チームパフォーマンス」「コラボレーション」「フレキシビリティ」「カルチャーブランディング」) 。
コラボレーションエリアのHUBスペース。自然光が差し込む明るい窓際に配置された、カフェ風のテーブルと多様なチェアが特徴。
鈴木 また、グループアドレスのような「空間 (ハード) 」の刷新と同時に、意思決定のルールを見直したり、オフィスカジュアルを導入したりと、ルールや企業文化も併せて変えていきました。
新しい働き方を根づかせるためには、空間だけでなく社員の意識や行動を支える仕組みも変える必要があります。「自分たちはどんな働き方をしたいのか」を考え、その実現に向けて働く場や仕組みの両面を整えることが、社員の行動や真のコミュニケーション変革につながります。
小島 まさにそのとおりで、「空間」と「文化」の間に横たわるギャップを埋めることが最も重要です。どれだけ優れた空間をつくっても、旧来のルールや固定観念が根付いたままでは、宝の持ち腐れになってしまいます。
例えば、集中ブースを導入しても、『上司やチームメンバーの目の届かない場所で仕事をしていいのか』という心理的な障壁が社内にあれば、誰も使いません。私たちは、こうした「見えない壁」を特定し、「どんな空気感の会社を創りたいか」を経営層と徹底的に議論。「新しい働き方」を後押しする明確なガイドラインを打ち出しました。
集中エリア。ガラス張りで遮音性の高いボックス型集中ブース。
集中エリア。パーテーション付きのデスクエリアが数箇所に設置され、周囲の騒音などに邪魔されず作業に没頭できる。
パフォーマンスを最大化できる自律的なオフィスの誕生
──具体的にどのような空間が生まれたのか教えてください。
鈴木 社員が部署横断で集まったプロジェクトだからこそ、社員の「本気・本音」が詰まった、本当に使いたい空間が生まれました。例えば、社員の熱量の中心となるワークカフェ「k-studio」や、偶発的な出会いを誘発する「HUB」、オープンな打ち合わせスペース「YAGURA」などです。これらはトップダウンではなく、社員一人ひとりの意思が結晶となって生まれた、私たちのオフィスの「個性」です。
もし総務のメンバーだけで設計していたら、きっともっと空間効率を優先した、全く違うオフィスになっていたでしょう。このプロセスそのものに、最大の価値があると感じています。
k-studio (ワークカフェ) 。プロジェクトメンバーによって選定されたアーティスト田中紗樹氏のウォールアートを通して、「多様な働き方の中で、再び集い交わる」という想いと「会社の未来への期待」を表現している。
フロアHUB。組織変更など、あらゆる変化にも対応可能とするため、電気工事が不要となるよう、電源を設置しない形を採用。そのため、モバイルバッテリーを配置、サウンドマスキングを導入した空間に。
YAGURA (オープン型の打ち合わせスペース) 。基本的に予約はいらず、必要であればすぐコミュニケーションが取れる。
増員時はYAGURAと呼ばれる骨組みを解体することで、フレキシブルなスペースの使い方が可能となっている。
実際のオフィス空間や工夫を、現地で体感してみませんか?
小島 こだわったのは、社員の「心地よさ」と「生産性」を両立させる、空間の多様性です。単に席の種類を増やすのではなく、家具の選定、視線の抜け感、照明の照度、窓からの景色の見え方まで、すべてに意図を持たせて細かく変化をつけています。特に「光」にはとことんこだわり、窓から射す自然光がオフィスの奥まで届くように設計しました。
このように、一つひとつの空間が異なる個性を持つように緻密に設計したからこそ、社員は「今日は一人で深く集中したいから、没入感のある集中エリアへ」「チームの気配を感じながら作業したいから、開放的なHUBへ」というように、その日の業務内容や気分に合わせて、最もパフォーマンスが高まる場所を自律的に選べるようになります。この「選択できる自由」こそが、自律的な働き方を支える土台なのです。
空間とICTを一体で設計する最大のメリット
──ICTや通信環境の設計で特にこだわった点はありますか?
大高 勇人 (以下、大高) ICT環境の構築にあたり、選定基準は大きく3つです。1つ目は、KDDIグループとしての厳しいセキュリティ要件をクリアすること。2つ目は、ICTに詳しくない社員でも、マニュアルなしで直感的に使える操作性を実現すること。3つ目は、自社の商材としてお客さまに自信を持ってご提案できる品質であることです。
働く場づくりで重要なのは、空間だけでなく、ICT・通信・セキュリティまで一体で設計することです。そうすることで、社員がストレスなく働ける「快適性」と、企業に不可欠な「安全性」を最高レベルで両立できるのです。
お客さまが本質的に求めているのは、単に美しいオフィスではなく、「社員が生産性高く、いきいきと働ける環境」そのものです。私たちは、その環境を、空間とICTの両面からワンストップで実現できる、数少ないパートナーであると自負しています。
小島 ICTと空間設計の連携がもたらした最も大きな変化は、会議や打ち合わせにおける「時間とストレスの削減」です。全スペースにモニターを標準設置し、PCとワイヤレスで瞬時に接続できるようにしたことで、会議前の接続準備に時間を取られることがなくなりました。
一回あたりの時間はわずかでも、それが毎日の積み重ねとなれば大きな差になります。接続の手間という小さなストレスから解放され、誰もが本来の目的である「議論そのもの」に集中できるようになりました。さらに、固定電源を最小限にし、自社商材でもあるモバイルバッテリーを随所に配置したことで、本当の意味で「場所の制約」から解放された自由な働き方が実現しています。
会議室。二重ガラスで中にブラインドを入れることで、必要であれば目隠しすることが可能な作りになっている。配線をなくしたことで、会議開始時の投影や接続が以前よりもスムーズに行えるようになった。
モバイルバッテリーを社内の随所に設置。固定コンセントに縛られず、自由な場所で業務を行うことができる。
「まずはどこから変えればいい?」とお困りの方へ
課題の整理や小さなオフィス改善からでもご相談いただけます。
エンゲージメント向上。移転後に生まれた意識と行動の変化
──移転から半年あまり経ちどのような変化を感じていますか?
野村 コミュニケーションの「量」と「質」が劇的に向上しました。執務フロアの至る所に相談スペースがあるため、上司や他部署のメンバーとも瞬時に連携でき、業務のスピードが格段に上がっています。当初は少し戸惑いの声もあったオープンな打ち合わせも、今ではすっかり定着し、むしろ意思決定の迅速化につながっているほどです。これは本当に挑戦してよかったポイントです。
坂口 上司と部下の関係性すら、よりフラットに変わりました。以前は部長に相談するのにも、まず席まで行って「お時間よろしいですか?」と恐る恐る声をかける必要がありましたが、今は「相談したいことがあるので、隣の席に座りますね」と、自ら関係性をデザインできるようになりました。
さらに、社員一人ひとりが「この空間をもっとよくするには?」と主体的に考え始め、会社から与えられた働き方ではなく、自分たちでワークスタイルを創造していくカルチャーが根付き始めていることを実感します。
小島 オフィスが、単なる仕事場から社員のエンゲージメントや家族の笑顔を生み出す「コミュニティの拠点」へと進化したことです。例えば、「k-studio」で家族を招いたイベントが開催されるなど、オフィスが「つながりを育む場」として機能している点を挙げたいです。アンケートでは社員の約9割が「自慢できるオフィス」と回答してくれました。自分たちの新しいオフィスへの誇りが数字にも表れていて、とても嬉しかったですね。
また、「今日はチームで議論を深めたいからオフィスへ行く」といった、出社が「目的」を伴うポジティブな選択肢に変わりました。「働くモチベーションが上がった」という声が多く、私たちが目指した「エンゲージメントの向上」が、確かな手応えとして表れていると感じています。
オフィス移転後に実施した、オフィス環境への社内アンケート結果より抜粋。満足度約9割という結果をはじめ、社員からのポジティブなフィードバックが多数見受けられた。
鈴木 「私たちの働き方を、次はどうよくしていこうか?」という対話が、ごく自然に生まれるようになりました。これこそが最大の成果かもしれません。社員が自らの言葉で「もっとこういう働き方に挑戦したい」と提案してくれるようになったのです。
これは、社員一人ひとりの中に「会社から信頼され、大切に仕事を任されている」という心理的安全性が育まれている証拠です。この目に見えない信頼関係こそが、活発なコミュニケーションと、会社の未来を創る本当の土台なのだと確信しています。
k-studio (ワークカフェ) から一続きの場所にある、対面ボックス席。木目のバックパネルでプライベート感を保ちつつ、打ち合わせができる。
オープンミーティングスペース。チームパフォーマンスとコラボレーションの向上を狙うエリアが各階にあることで、用途や人数、気分によってスペースを使い分けて活用することができる。
自社実践の知見を、お客さまのオフィスづくりへ
──オフィスのあり方に悩むお客さまに向けたメッセージをお願いします。
小島 単に「美しい空間」をご提案するのではなく、プロジェクトをどう動かし、どう新しい働き方を社内に定着させるか――私たちが身をもって経験した「生きたプロセスと解決ノウハウ」を丸ごとご提供できることこそが、お客さまの現場に寄り添う私たちの最大の強みです。
この新オフィスは、設計段階から「お客さまにいつでも体感していただくリアルなショールーム」として創り上げました。ぜひ一度、お気軽に足を運んでみてください。
大高 昨今、多くの企業さまが「コミュニケーション不足」や「生産性・エンゲージメントの低下」「オフィスの非効率化」といった共通の課題に直面しています。その現実的な解決策を、このオフィスにたくさん詰め込みました。
まずは社内で「どんな風に働けたらワクワクするか?」「今ある空間をどう少しずつよくできるか?」というポジティブな会話から始めてみませんか。その小さな一歩が、組織全体をよりよく変えていく大きな推進力になるはずです。
鈴木 抱える課題は会社によって千差万別です。「どんな働き方をしたいかぼんやりしている」という段階でのご相談も大歓迎です。いきなり全面改装をしなくても、「まずは一つの会議室の使い方を変えてみる」といった、スモールスタートで十分変わってきます。私たちが創り上げたのは、誰もが無理なく自分のペースで踏み出せる、いわば「1.5歩先のオフィス」なのです。
1年以上をかけて新オフィスプロジェクトを担ってきた5名。ディスカッションを重ねてきたからこそのチームワークで、対談時も笑顔が溢れていた。
オフィスづくりは、「どう働きたいか」を問い直すことから
この新しいオフィスが体現しているのは、単に「完成された空間」の美しさではありません。「自分たちはこれからどう働きたいのか」を、社員一人ひとりが真剣に考え抜いたプロセスそのものです。
部署を越えた対話、空間と一体になったルールや運用の設計、ICT環境づくり――これらすべてが噛み合って初めて、社員の意識や行動にポジティブな変化が生まれました。
働く場のアップデートは、大きな予算をかけた大規模な移転や全面改装だけが正解ではありません。「今できること」から少しずつ見直していくアプローチも、立派な変革です。
KDDI Biz Edgeの新オフィスには、皆さまの会社の「はたらく未来」をよりよくするための具体的なヒントやアイデアが満載です。まずは気軽に、私たちの新しいオフィスを覗きに来てみませんか?
【無料】自社の「1.5歩先」を体感するライブオフィスはこちら
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。







